右上7 強い湾曲根管の症例
湾曲根管とは?
強く曲がっいる根管のことです。多くの根管は、多少なりとも曲がっていますが、特に湾曲の強いものを湾曲根管と呼びます。このような湾曲した根管を治療するのは、非常に難しいのです。
強く湾曲した根管を持つ右上7の根管治療
患者さんは、右上の一番奥の歯が腫れた、とのことで来院されました。
レントゲン写真です。かなり強い湾曲をしているのがわかると思います。診査の結果、根管治療をすることになりました。湾曲している根管の治療なので、難易度は高いです。
根管へのアプローチから、根管形成、根管充填、支台築造までの一連の処置の流れを提示致します。
まずは、根管内へのアプローチをします。
この後、根管の長さを測定し、その長さが正しいか、レントゲン写真を撮影します。
根管の長さが測定できたら、ニッケルチタンファイルで根管拡大を行い、根管内の洗浄効率を上げ、根管充填しやすいようにします。
根管拡大が完了し、根管充填前の最終確認をしたところ、根管がもうひとつ見つかりました。
この根管も長さを計り拡大します。
新たに発見した根管の長さを確認しているレントゲン写真です。
これら4本の根管内の洗浄が完了したあと、根管充填を行いました。
これが根管充填中の写真です。
そのあと、この根管の内部に細菌が入らないよう、その日のうちにコンポジットレジンで支台築造を行いました。
術直後のレントゲン写真です。
歯茎の腫れも治りました。
術後3ヶ月のレントゲン写真です。
レントゲン写真上でも問題なく、また、歯茎の腫れもありません。
今後、歯茎の腫れの再発の可能性があり、術後3ヶ月という短い経過観察期間ではありますが、現段階では、成功と言って良いと思います。
まとめ
今回のような強い湾曲根管の根管治療は、通常の根管治療と比較し、難易度は高くなります。このような難しい根管治療のケースは、マイクロスコープを使い、十分な時間をかけて、確実な手技と材料を使うことにより、成功率を高めることができます。
また、このようなケースの再根管治療となると、さらに難易度は高まります。初めて根管治療を受ける場合は、全く手付かずの状態で、精度の高い治療を受けることが、その歯の寿命を格段に伸ばすポイントです。
今回治療したケースが、より長く健康に機能することを心から願っています。